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その日の東京は、未明から降り続く雪に見舞われていた。
まだ半分眠ったままの感覚で、独特な外の静けさを察知する。カーテンを開くと、白く一変した世界が飛び込んで来た。ネットで天気予報をチェック。ついでにRSSに登録された新着情報も巡回する。「未読」を知らせるオフィシャルページを開くと、そこには新加入選手を発表するニュースが報じられていた。
「エメルソン選手 加入のお知らせ」
突如発表された選手名に、かつて赤いチームに所属したプレイヤーが頭をよぎった。いやいや、年末に2人のベテランを戦力外にしたからと言って、中東諸国から選手を引っこ抜いて来れるほど潤沢ではないはずだ。まして、あのチームに所属していた選手など。
そんな名前の響きだけで十分すぎる「予感」を漂わせたプレイヤーは、遠くギリシアからやって来たブラジル人だった。果たしてフィットしてくれるのか。ここ数年、短期留学で東京から去って行った選手は数知れず。しかし、巧みにボールを操る彼の姿に、いつしか僕たちの不安は希望に変わっていた。
相手を欺くように真横にボールを転がし、今季1点目を演出した開幕戦でのフリーキック。アウェー初陣の新潟で、勝利を手繰り寄せた移籍後初ゴール。活躍を待ち望んだ故障明けの磐田戦では、解き放れたように相手を翻弄し続け、僕たちにリーグ戦ヤマハ初勝利という大きなプレゼントをもたらしてくれた。
東京でプレーした1年間は、彼の中にどんな記憶として残るのだろう。残り3戦。寒空の下でカップを高く掲げた記憶を胸に、新天地へ旅立ってほしいと願うばかりだ。
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